こんにちは、trans(トランス)です。
今回は、銅粉から硫酸銅(Ⅱ)5水和物を合成する実験について解説いたします。
まず、硫酸銅(Ⅱ)の章では、銅粉から硫酸銅(Ⅱ)5水和物を合成するまでの過程や収率の算出方法などを解説いたします。
次に、実験操作の章では、各試薬の必要量,洗浄操作などを解説いたします。
実験の予習をやらなければいけないけど時間が無いという学生に向けて、予習の手間が省けるように、この記事を書いています。スマホを見ながら電車で予習することもできます。実験項目は某大学の実験テキストを参考にしています。
レベル的には、大学の学部生レベルを想定していますが、高校生も化学の発展的なことに興味があれば、読んでみてください。
それでは行きましょう!
1、硫酸銅(Ⅱ)
1‐1、金属銅を溶解させる
まず、銅粉を濃硝酸によって溶解させ、銅(Ⅱ)イオンの状態にします。
化学反応式は以下の通りです。
Cu + 4HNO₃ → Cu(NO₃)₂ + 2NO₂ + 2H₂O
ちなみに濃硝酸の場合は、一酸化窒素を生じます。
1‐2、塩基性炭酸銅を生成する
前工程で生成した硝酸銅(Ⅱ)に、炭酸ナトリウムを加えることで、塩基性炭酸銅を生成することができます。
化学反応式は以下の通りです。
2Cu(NO₃)₂ + 2Na₂CO₃ + H₂O → CuCO₃・Cu(OH)₂ + 4NaNO₃ + CO₂
この記事を書くにあたって、他のネットの情報を確認しましたが、以下のように間違った化学反応式が記載されていました。
Cu(NO₃)₂ + Na₂CO₃ → CuCO₃ + 2NaNO₃
生成されるのは塩基性炭酸銅です。注意しましょう。
少しでも、この記事のサイトパワーが上がって、正しい情報を皆様に届けられるように、頑張ります。
私の記事も完璧ではないので、間違っている部分などを見つけたら、連絡いただけると幸いです。
皆で良い記事を作っていきましょう!
1‐3、酸化銅を合成する
前工程で生成した塩基性炭酸銅を、熱分解することで酸化銅(Ⅱ)を合成することができます。
化学反応式は以下の通りです。
CuCO₃・Cu(OH)₂ → 2CuO + CO₂ + H₂O
1‐4、硫酸銅5水和物を生成する
いよいよ大詰めです。
前工程で合成した酸化銅(Ⅱ)に硫酸を加えることで、硫酸銅(Ⅱ)を生成することができます。
最終的には硫酸銅(Ⅱ)5水和物の形で得ることができます。
化学反応式は以下の通りです。
CuO + H₂SO₄ → CuSO₄ + H₂O
CuSO₄ + 5H₂O → CuSO₄・5H₂O
2、実験操作
まず、沈殿の洗浄について解説します。
沈殿の洗浄は、多量の洗液で1度に洗うよりも、少量の洗液で複数回に分けて洗浄した方が効果的です。
理由としては、溶解度にあります。溶液の量が多すぎると沈殿の一部が溶解し、溶液となって、ろ液側に流出してしまいます。一方、少量の洗液で複数回に分けて洗浄する方は、微量に含まれる不純物のみを溶解させ取り除くことが出来ます。つまり、少量の洗液で複数回に分けて洗浄した方が、目的の沈殿を溶解させずに、不純物のみを溶解させやすいので効率的であるということです。
今回の実験では、「1‐2、塩基性炭酸銅を生成する」の章で副産物として発生した硝酸ナトリウムを取り除く操作として使用されています。
次に、「1‐2、塩基性炭酸銅を生成する」で使用する20(w/v)% 炭酸ナトリウム溶液と、「1‐4、硫酸銅5水和物を合成する」で使用する硫酸(1+1)の必要量について解説いたします。
まず、「1‐1、金属銅を溶解させる」で使用する銅粉を4 gとすると、「4 ÷ 63.5 ≒ 0.063」より、0.063 molの銅を反応させることになります。
その後、硝酸との反応で得られる硝酸銅(Ⅱ)も0.063 molであることから、塩基性炭酸銅を生成するのに必要な炭酸ナトリウムも0.063 molであることが分かります。
したがって、「0.063 × 106.0 ≒ 6.678」より、6.678 gの炭酸ナトリウムが必要であることが分かります。
20(w/v)%溶液ですので、5倍して約33.4 mLの20(w/v)% 炭酸ナトリウム溶液が必要であることが分かります。
また、生成した塩基性炭酸銅は、0.0315 molですが、その後、合成する炭酸銅(Ⅱ)は、0.063 molなので、硫酸銅(Ⅱ)5水和物を生成するのに必要な硫酸も0.063 molであることが分かります。
したがって、「0.063 × 98.1 ≒ 6.180」より、6.180 gの硫酸が必要であることが分かります。
(1+1)ですので、2倍して約12.4 gの硫酸(1+1)が必要であることが分かります。
3、~まとめ~
いかがでしたか?
今回は、銅粉から硫酸銅(Ⅱ)5水和物を合成する実験を、硫酸銅(Ⅱ),実験操作という2つのキーワードから説明しました。どの章も重要なのでしっかりと抑えておきましょう。
また、参考文献は以下の通りになります。
1、日本化学会「化学便覧改訂3版基礎編」丸善出版、1984、P、2~169
最後になりますが、参考文献以外はコピペ厳禁です。バレます。気を付けてください。自分で理解してまとめてください。
また、完全に情報を網羅しきれていないと思いますので、質問等ありましたら、下のコメント欄にコメントお願いします。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。