transblog

~教養や趣味についてのブログ~

理系の教養

化学発光 ~化学発光,ルミノール反応~

投稿日:5月 14, 2020 更新日:

こんにちは、transです。

今回は、化学発光に関する実験のルミノール反応について解説します。

まず、化学発光の章では、発熱反応や吸熱反応といった熱の話,励起状態や基底状態といったエネルギーの話をして化学発光の原理について解説します。

また、ルミノール反応の章では、化学発光の一例としてルミノール反応の原理や、ルミノール反応の応用になどについて説明します。

実験の予習をやらなければいけないけど時間が無いという学生に向けて予習の手間が省けるようにこの記事を書いています。スマホで見ながら電車で予習することもできます。実験項目は某大学の実験テキストを参考にしています。

レベル的には、大学の学部生レベルを想定していますが、高校生も化学の発展的なことが知りたければ読んでいただいて構いません。

それでは行きましょう!

1、化学発光

 

化学反応において、反応物のエネルギーが生成物のエネルギーより大きい場合、そのエネルギーの差は外に放出されます。その放出が熱である場合を、発熱反応といいます。また、逆に反応物のエネルギーが生成物のエネルギーより小さい場合、その差のエネルギーを熱として周囲から吸収します。これを吸熱反応と言います。

下に、発熱反応と吸熱反応の模式図を示します。

発熱反応と吸熱反応の図

左側の図が、C+O → CO という反応で、反応物である C+O のエネルギーが生成物のCO よりも高いので発熱反応となります。

右側の図が、C+H₂O → CO+H₂ という反応で、反応物であるC+H₂O のエネルギーが生成物のCO+H₂ よりも低いので吸熱反応となります。

 

通常は、エネルギーを外に放出する反応は発熱反応ですが、熱ではなく光を放出する反応もあります。この反応を化学発光と言います。化学発光は、励起状態(電子軌道のエネルギーが高く不安定な状態)を化学反応で作り出し、電子が励起状態から基底状態(電子軌道のエネルギーが最も低い状態)に戻るときに放出されるエネルギーの差によって見られます。また、このようにして発光した現象をルミネッセンスといいます。

言葉だと分かりづらい人は下に電子が基底状態から励起状態になるときのイメージ図を参考に理解してみてください。

励起状態と基底状態

 

2、ルミノール反応

先ほど説明した化学発光の典型的な例がルミノール反応です。

ルミノール反応とは、ルミノールが過酸化水素水などによって、塩基性溶液条件下で、鉄(Ⅲ)イオンなどに触媒されて酸化されることによって起こる化学発光のことです。ルミノール反応は波長460 nmの青い光を発します

また、ルミノール反応の化学反応式は以下のようになります。本当はケミスケッチとかを使いたかったのですが、学校のパソコンが使えなかったので、手書きにしました。見づらかったら、すみません。

ルミノール反応

左がルミノール、真ん中が酸化されたルミノール(励起状態の化合物には*を全体に付けます)、右が酸化されたルミノール(基底状態)です。ちなみに、酸化されたルミノールは、3-アミノフタル酸と言います。

また、触媒に関しては基本、鉄(Ⅲ)イオンを含む錯イオンが良いようです。まず、三価の鉄イオンを使用するのは三価から二価に還元するときにルミノールを酸化するためのようです。また、還元された鉄(Ⅱ)イオンは、過酸化水素などの酸化剤によって鉄(Ⅲ)イオンに、すぐに酸化されるので、反応上は何も起きていないように見えるといった原理です。また、錯イオンにするのは通常のイオンだと塩基(水酸化物イオン)と反応し、沈殿してしまうためだと考えられます。

さらに、ルミノール反応は、血痕検出の鑑識捜査や動物の発光(ホタルやホタルイカ)に利用されています。

血痕検出は、ルミノールが血液のヘモグロビン中に含まれるヘムという鉄の錯体と反応することによって可能になっています。

ホタルの発光に関しては、発光物質であるルシフェリンが、酵素のルシフェラーゼに触媒されることによって起こります。また、ホタルは発光物質を体内で次々と作るため、一定の周期で点滅させることができます。

 

3、~まとめ~

いかがでしたか?

今回は、今回は化学発光、特にルミノール反応について解説しました。実験の内容が、難しくなってきたので、これからは箇条書きは省略することにします。その代りに、重要なところは太字にしたりするので、そこに注目して読んでいただければ、良いと思います。

 

また、参考文献は以下の通りになります。

1、辰巳敬(他13名)「化学」数研出版、2012、p 99,111,113

2、戸嶋直樹,瀬川浩司「理解しやすい化学」文英堂、2012、p 237,250~252

 

最後になりますが、参考文献以外はコピペ厳禁です。バレます。気を付けてください。自分で理解してまとめてください。

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

-理系の教養

執筆者:


  1. […] ・「化学発光 ~化学発光,ルミノール反応~」 […]

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

研究者の画像

陰イオン定性分析 ~陰イオンの名称と色,分液漏斗~

こんにちは、transです。 今回は、陰イオン定性分析において大切な、陰イオンの名称と色,分液漏斗、の2つのキーワードについて解説していきます。 実験の予習をやらなければいけないけど時間が無いという学 …

ドライアイスの画像

二酸化炭素の状態変化と分子量測定 ~二酸化炭素,相図,理想気体の状態方程式~

こんにちは、trans(トランス)です。 今回は、二酸化炭素の気圧を変えた時の状態変化の実験と気体の状態方程式を用いた二酸化炭素の分子量測定の実験について紹介します。 まず、二酸化炭素の章では、今回の …

還元反応

4-メチルシクロヘキサノンから4-メチルシクロヘキサノールの合成及び分析

  こんにちは、trans(トランス)です。 今回は、4-メチルシクロヘキサノンの還元から4-メチルシクロヘキサノールを合成し、合成した4-メチルシクロヘキサノールをガスクロマトグラフィー, …

示差熱分析

示差熱分析による硫酸銅(Ⅱ)5水和物の脱水測定 ~示差熱分析,CA熱電対,硫酸銅(Ⅱ)5水和物~

  こんにちは、trans(トランス)です。 今回は、示差熱分析によって硫酸銅(Ⅱ)5水和物の脱水過程を確認する実験について解説いたします。   まず、示差熱分析の章では、熱分析や …

赤い染料の画像

アニリンの定性試験とアゾ染料の合成 ~アニリン,アゾ染料~

こんにちは、transです。 今回は、アニリンの定性試験およびアゾ染料であるp-フェニルアゾフェノールの合成の実験について紹介します。 まず、アニリンの定性試験の章では、アニリンの物性や定性試験によっ …

プロフィール

研究者で、思想家で、ゴルフ愛好家の三刀流社会人です。高校時代に野球でイップスになり絶望しましたが、ゴルフに出会いました。今は、研究の合間に、ブログとゴルフをやっています。効率の良い豊かな人生を目指しています。化学・自己啓発・ゴルフについて呟きます。

Twitterはこちらから